西郡33観音霊場巡礼日誌 一番 六角堂

1.始めは六角堂から

 わたしはウォーキングで自宅から20分ほどの桃園神社まで歩くことがあるのですが、昨年12月、ふとした気まぐれで素直に家に戻らず、遠回りをしてみました。冬にしてはわりと穏やかな日差しだったと記憶しています。道の傍らに「六角堂→」という表示を見つけました。「確か沢登に『六角堂』という文化財的なお堂があったな。」と想い出し寄ってみることにしました。六角堂は予想していたものよりだいぶこぢんまりしたものでした。それでも江戸時代の建立らしく軒先の木組みなど趣のあるものでした。

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六角堂

2 西郡33観音霊場との出会い そのお堂の左前に1本の石柱がありました。「西郡筋三十三所観音霊場 第一番 沢登六角堂」と刻まれています。そして側部に、「詣り来るその名を聞けばいにしえのみづの臺に立つは観音」という和歌が書かれています。わたしは帰りがけに更に寄り道をして白根桃源図書館に足を運びました。

 調べてみると、「西国」とか「秩父」とか冠された観音霊場があって信心深い方が巡礼すると言うことは知識としてはあったのですが、どうも甲斐国にもいくつかあるらしく「西郡筋」もそのひとつらしいのです。後日、南アルプス市役所の教育委員会に問い合わせると親切にもその一覧をファックスで送って下さいました。また、後日県立図書館で調べてみると、わたしが石柱で見た和歌は御詠歌と言って巡礼者が鈴を振りながら哀調を帯びたメロディーで歌う和歌で、仏の徳をたたえたものだそうです。全国の霊場の御詠歌を網羅して上梓した奇特な方もいて、その本には六首だけですが、西郡観音霊場の御詠歌も所収されていました。

3 巡礼みたいなもの 思うところのあったわたしはその全部を訪ねてみたいと思ったのです。札所巡りのなんたるかも知らない私ですので、あくまでも「みたいなもの」ですが、一ヶ月ちょっとをかけて回ってみました。(もちろん車でですが。)それから十ヶ月ちょっと経ち、改めて思います。「だいぶざっと回ったものだな。新たな思いでもう一度回ってみようかな。そして今度は記録に残そうかな。」と。

 ブログなんて自分にできるのか、半信半疑と言うより、一割信九割疑くらいですが、とりあえずレポートにチャレンジします。

4 六角堂再訪

 

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 11月3日、朝方曇りがちだった空も青んできて薄日が差してきた9時頃、ひさしぶりに訪れた六角堂は文化年間の再建ですが、漆喰は鮮やかな白色で古びた感じはしません。この沢登地区は切り子細工という伝統工芸があります。切り絵みたいなものでしょうがとても緻密で超絶な技巧で仕上げられています。説明板や実物の展示には伝承者の矜持が感じられます。

 お堂の中には神輿みたいなものが安置されています。お祭りには担がれるのかな。お堂の左後方にはお地蔵さんなどが一列に並べられています。

 お堂に合掌。思いを新たにしました。

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切り子作品が展示されていました。

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