西郡33観音霊場巡礼日誌 三十番 田頭観音 十八番 青野山耕雲寺

1.ラス前 手探り状態で始めたこのブログもあと2回で完結する予定です。4月からは時間に余裕ができるので、新しく方言、古典、漢詩でブログが開設出来たらとも思っています。

 巡礼はこれで完結しますが、これを契機に仏像、仏教、郷土史にも興味の度合いが強くなりました。勉強したい。人生常に勉強です。職業にはリタイアがありますが、勉強にはリタイアはない。一生勉強です。

 さてラス前、二か所訪れました。とはいっても徒歩で回れる圏内ですけれど。

2.田頭観音 西郡筋33観音霊場で独立した寺院でないのは六角堂とこちらだけです。南アルプス市櫛形町上宮地の小字田頭の伝嗣院から西に300メートルほどの県道110号線沿いにありました。「あぶちゃん」さんのご指摘によと伝嗣院の末(堂?)だそうです。観音堂の前には道祖神、「南無薬師如来」と刻まれた石碑、お地蔵さまなどが置かれています。地域の方々が大切に祀っているようで新しいしめ縄が掛けられています。観音堂にも。あれっ、でも待てよ。しめ縄って神様にかける結界みたいなものですよね。道祖神はともかく、観音も如来も地蔵もみんな仏様ですよね。まあ、いいけど。

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道祖神

 

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南無薬師如来と書かれています。

 

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お地蔵さんなど

  観音堂は一間四方。小さくて素朴だけれど古そうです。ただドアだけは新しいアルミサッシ製です。ドアノブの横の郵便受け、写真ではよくわからないけれど、ひらがなで「おさいせん」と書かれています。なるほど!こういう使い方。
 内部を覗きましたが暗くてよくわかりません。スマホをかざしてみてもガラスが反射してピントが合わず、私の顔の輪郭映ってしまいます。

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中はガラスが反射したよくわかりません。本尊がありそうな感じ。

 3.秘仏の開帳 見えないけれど観音様はそこにいるのでしょう。そういえば霊場巡り31回、境内にある石造の観音様は見るけれど本尊の観音様は見ていないなあ。

 普段公開していない仏を秘仏といいます。日開帳といって毎日公開する秘仏もあるそうですが(毎日公開したらもはや秘仏ではないだろうという気もしますが)、普通、年に一度または数年に一度、あるいは数十年に一度(日不見観音がそうですが)しか開帳しません。見せてこそ素晴らしさが伝わるのに。

 素人考えにこう思います。岡倉天心フェノロサ以来、仏像は美術品、芸術作品として評価されてきたのでしょうが、本来は信仰の対象です。見物して目を楽しませるものではなく、祈って心を(時には物質的に)満たすものでしょう。仏像制作に技を凝らすのは、人々を唸らすためというより自分の技を尽くして仏に捧げるためなのではないでしょうか。そこにおのずと霊験が宿る。霊験は安売りしない。秘仏とはそのようなものでしょうか。

 だいぶ昔のことですが、身延町旧中富町の八日市場大聖寺という古刹があって、江戸時代にはその秘仏を江戸の町で出開帳したとの文章を読んだことがあります。甲斐の国の片田舎の仏さんをわざわざ江戸で開帳したの?なぜ?江戸の人はみんなそれを見に行ったの?どうして?と、その当時ぴんと来なくてモヤモヤしていた記憶があります。今なら少しわかる気もする。今の私たちにはない信仰に対する情熱が昔の人には皮膚感覚に近い形でしみ込んでいたのではないでしょうか。ですから「おい甲斐の国からすごい仏さんが来たらしぞ。」「そりゃご利益があるだろ。行かなきゃなんめえ。」なんて会話で人々が集ったのではないでしょうか。そこには、「喜捨」や「布施」といったものの流れも付随したでしょう。

 絶対秘仏といって住職以外見ることができない仏様もあるようです。見たいなあ。

4.青野山 続いて青野山耕雲寺。耕雲寺は「甲斐国志」には「伝嗣院ヨリ一層高ク西山ニ倚ル」とあります。本尊は如意輪観音です。廃寺となっています。田頭の観音堂から西に進むと勾配が急になります。櫛形山のふもとです。この山中にあったのでしょう。青々とした山。まだ三月ですから常緑樹の青さですね。杉ではないと思いますが何の木でしょう。山号青野山の由来はこの青々とした森によるのでしょうか。

 山と里の境界には柵が張られていて侵入できません。「電気網使用中」の掲示があります。グーグルアースで現地の衛星写真を見たけれど、素人目には旧跡っぽい人工物はわかりませんでした。礎石ぐらいはあるはずだから分けいって行きたいのはやまやまだけれど、感電したくはありません。鳥獣保護区の柵なのか、害獣阻止の柵なのか。

  柵越しに合掌。

 振り返ると春霞の甲府盆地。耕雲寺から見ればもっと絶景だったでしょう。

 次、ラスト。

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この森の中?

 

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禁猟区なのか害獣からの保護なのか?

  

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甲府盆地は花曇り