甲府五山を巡る③ 能成寺
1.外食
甲府夢小路のイタリアンで昼食を済ませて午後の一番目は能成寺です。
コロナ解除後の外食は四度目でした。外食は食べる方も気を遣います。先客がいればなるべく離れた息のかからない席にするとか。お見せの方も、メニューは紙でプリントアウトした使い捨てのものでした。お手ふきも紙の使い捨て、ナプキンも紙。それは以前からかもしれませんが。珍しい西洋野菜のサラダとエスプレッソみたいに濃いアイスコーヒー印象的でした。生のなすが新鮮だと歯ごたえがあり、おいしいのには驚きました。
以前行った身延町のラーメン屋では四人がけのテーブルを縦長にして遠く離れた二人がけにして、真ん中にアクリル板を置いていました。食べ終えて店を出るとき振り返ると、店員さんが速攻でテーブルを除菌していました。甲府駅北口の立ち食いそば屋さんでは、トッピングはトングを使わず、客が自分の箸で蓋を開けて取り、取り放題だった天かすは、申し出て店員さんに入れてもらうようになっていました。どの飲食店も工夫して頑張っているんだな。
応援したい気持ちは充分にあるんだけど、やっぱり外食を躊躇する自分がいます。
2.定林山能成寺
定林寺は甲府五山の中では一番小さなお寺でしょうか。でも、西郡33観音霊場のお寺に比べれば大きい方です。やはり甲斐府中のお寺だなあと思います。まあ、価値は規模の大小ではないですけれど。お隣に誓願寺という浄土宗のわりと大きなお寺があって、保育園を経営しているようです。ここじゃないよなと車をゆっくりと走らせると、武田菱が書かれた石の柱に定林山能成寺とあります。甲府市が立てたのでしょうか丸木風の甲府五山の標識もありました。
ただ駐車場が見当たらない。石畳の参道が続くだけです。ここは車で入るところではないよな、と思いながら、でもあまり広くない道、路上駐車はできないし、と徒歩で中に入ってみると奥の方に駐車場があるではないですか。申し訳ないけど車で乗り入れました。駐めてみると、別の方から車の乗り入れ道がありました。もっとよく探せばよかった。
車を駐めてから、参道の入り口に戻ってリスタート。始めて通る気持ちで進みます。樹木が多く緑濃い参道です。
右手に石碑がありました。「宿龍池」と読めます。下に書いてあるのは、28文字の感じだから七言絶句の漢詩でしょう。7字目、14字目、最後が「田、遄、傳」と先韻で押韻されています。龍が潜んだという伝説の池があったようです。
左手には、北山野道(きたやまのみちと読むんですかね)の案内板と、松尾芭蕉の「名月や池をめぐりて夜もすがら」の句碑があります。芭蕉が甲府に来たという話は聞かないから(谷村には来たようです)宿龍池にちなんで立てたのかもしれません。
若いお坊さんが本堂の方に歩いて行きました。爽やかなあいさつをかけていただきました。副住職さんかな?
参道は右に折れ、坂を上がっていきます。紫陽花がきれいです。六地蔵や石仏がぎっしりと並んでいます。坂を上ると本堂がありました。「定林山」の扁額は金色鮮やかで、火灯窓は曲線がダイナミックでユニークです。 合掌。
境内の庭はよく手入れされています。コンクリートのベンチがあって、ここからも甲府の町がよく見えます。
3.こんにゃく問答
帰りに面白い石碑を見かけました。○がぽつんと書かれています。なんだろう?よくわからずに帰ってから考えました。そういえば禅宗の掛け軸で一筆書きの円を見たことがあったような・・・調べてみたら、どうもこれは円相ってやつらしいです。悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任される、と解説されます。そうなんだ。
禅宗は難しい。道元の「正法眼蔵」はこれが日本語なのかと思うくらい難解だし、五山文学と呼ばれる漢詩文も難しい。不立文字といって教論にとらわれない直観的な悟りを求めたりする。禅問答などは本人達も本当にわかっているのかと思ってしまう。
そこで思い出したのが、落語の「こんにゃく問答」です。旅の禅僧と和尚さんに化けたこんにゃく屋さんがジェスチャーで問答する話ですが、とんちんかんな解釈が面白い話です。こんにゃく屋さんは値段交渉かと思って反応するのですが、禅僧はそれを仏教の真理だと勝手に解釈して降参してしまうのです。その最初の問答が、胸のあたりで両手の親指と人差し指で輪を作る仕草なのです。「貴公の胸中は如何に。」という意味らしいのですが、○には悟った心のような意味があるみたいです。よくわからない。
よくわからないことは、わからないと素直にいえる自分でありたい。
さあ次は東光寺。